1.カイロプラクティック

1990年からPAAC(パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会)に所属し各テクニックを学ぶ。1997年に「認定カイロプラクター」に合格。その後1999年東北で初のSOTアドバンスに合格。当時PAAC主宰の国内・外のセミナーを受けながら、オステオパシーの国際セミナーにも参加し始めた頃。
カイロプラクティックとは、自然の法則にしたがって手によって骨格構造を調整し神経のトーンを整え、イネイト(先天治癒力)を働かせる治療法です。アメリカにおいて1895年D,Dパーマーにより創始されますが、その後さまざまなテクニックが開発されました。
いずれもそこには哲学・科学・芸術が集約されており方法は多様であるも脊柱・骨盤を中心にメジャー(根本の問題部分)を検出し、そこを正常にして神経のトーンを調整することが最良の治療となります。以下にカイロプラクティックの各テクニックをご紹介します。

トムソンテクニック(drop table technique)

骨盤・頚椎をメジャーとして、ドロップテーブルを使い、重力を利用してわずかな力でアジャストし身体のバランスをとる治療。

カイロプラクティックを習い縦の頃、最初に習得した技術。当時あこがれのゼニスのドロップテーブルが欲しくて、なけなしの大金をはたいて購入。現在はCW療法のアジャストや頭軸圧の体位角度調整に重宝しています。各治療院に保有しておりドロップテーブルも合計3台になりました。

ディバーシファイドテクニック

骨盤や背骨をベットやイスに座って手でアジャストし、直接可動性をつける治療。


椎間板モデルの矯正法で、テクニックであり理論がないと言われますが、PAACの講師(D,C)には、きちんと治療理論を踏まえて学びました。自分にとってこの椎間関節モデルの治療はその後のオステオパシーにおけるFRYETTEの法則タイプⅠ・タイプⅡなど脊柱機能障害モデルの理解や検査・治療に活かされ、スティル・テクニックなどに応用しています。
 

ガンステッドテクニック(Gostead Technique)

骨格は重力によってC字やS字に捻れを完成するとの理論から、神経圧迫を起こし可動性を失った椎骨を1ヶ所のみ(多くても2ヶ所)、アジャストを行う椎間板モデルの治療。コンピューターでサブラクセイションを検出したり、シューリフト(足底板)を入れたり、3Dで身体のバランスを考える秀逸の理論。
 

大好きなテクニックです。これぞカイロプラクティック。理論・哲学・テクニック全てに惚れ込み、有名D,Cにも直接指導を受け、アジャストの醍醐味を知りました。ガンステッドをメインでやっていた頃は治療が楽しくてしょうがなかったな~。現在はあまり矯正をしなくなりましたが、治療理論の背景にあるガンステッドのサブラクセイション理論はいつも意識しています。
 

SOT(Saclo Occipital Technique)

身体の歪みをCATⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つのカテゴリーに分けてとらえ、硬膜・仙腸関節をブロックによる重力の力を利用して調整し、頭蓋や仙骨を動かして脳性髄液の流れを改善する。内臓マニピュレーションを含めてトータルで身体を調整する治療。
 

脊柱、四肢関節、骨盤、筋肉、靭帯をほぼ瞬時に改善できる素晴らしいテクニックですが、操作法や手順を間違えると諸刃の剣になります。触診と操作が噛みあえば、スマートで切れ味抜群の効果を発揮する治療法といえます。いずれ何の治療でもそうですが、触診検査と原因治療の重要さを身をもって痛感します。
 

ターグルリコイル(Hole in one technique)

2代目B,Jパーマーの功績はあまりにも有名。HIOはB,Jが開発しました。メジャーを上部頚椎である頚椎1・2番とし、ドロップテーブルやニーチェストテーブルにて特異的にアジャストを行い、治療後一定期間横になり、イネイト(先天的自然治癒能力)によってあらゆる疾患を正常に導くカイロプラクティックの古典的治療

上部頚椎バイオメカニクスもD,Cに指導を受けました。必要に応じてコンピューターで頚椎の温度をグラフに出して指標とします。上部頚椎はもっとも重要視する治療ポイントのひとつです。
 

ピアーズテクニック(Piers Technique)

骨盤・頚椎5番をメジャーとし、ドロップテーブルにてアジャストする身体機能的な治療。仙骨のみでバランスするローガンベーシックや、軽い圧で固有の椎骨を調整するオプション治療も含む。
 

特定の患者さんに必要に応じてC5のアジャストメントを行っています。恥骨結合へのドロップアジャストやローガンベーシックは治療概念を変えるきっかけになりました。
 

AK (アプライドキネシオロジー)

筋力検査で脊柱・内臓・経絡などの異常部位を検出しアジャストや反射点の刺激でエネルギーの流れを正常に戻す治療。
 

多様な検査法を駆使します。また多種の治療法を包含します。治療にカイロもオステも東洋医学にも垣根はないと実感しました。これをきっかけに経絡治療にもはまりました。
 

2.オステオパシー

PAAC入会と同時にPAACのオステオパシー部門の国際セミナーに参加しながら、徐々にオステオパシーに傾倒していく。2008年にはJOPA(ジャパンオステオパシープロフェッショナル協会)に入会。国内・外のセミナーに参加しながら10年がかりでBASICとADVANCEの試験に合格。現在クレニオ(頭蓋治療)を中心に継続勉強中。
オステオパシーとは、1874年に当時外科医であったA, T,スティルにより開発された治療体系であります。機能解剖学、機能生理学、臨床学においては、全体論的な非常に優れた理論体系を有し、後に頭蓋治療や内臓治療などで繊細な療法に発展します。特にFascia(筋膜)に対する造詣とその緻密な治療テクニックは、多くの疾患に対する解決に導く限りない可能性をもつものと思われます。以下にオステオパシーの各テクニックを紹介します。

カウンターストレイン(Strain and counter strain)

四肢関節から脊柱、腱、靭帯、頭蓋など身体のあらゆる歪みを特定の圧痛ポイントで検出し、そのポイントをもっとも緩める姿位で90秒保持して固有受容器の異常信号を正常化する治療。
 

国際セミナーでジョーンズD,Oから直接指導を受けました。セミナー中、初日から飲み歩き2日目から痛風で腫れて歩けない足を、カウンターストレインの名人U先生に毎日を治療を受け、嘘のように治っては毎晩一緒に飲み続けたため、さすがに最終日には激痛で歩けず山形の先生にかつがれながら仙台に帰ったのを覚えています。その後もU先生にはセミナーで仙台に及びしてオステオパシー治療のタッチ、微調整や治療の心を教えて頂きました。また「芭蕉会」でお会いしたいものです。
 

スティルテクニック(Still technique)

上記と同じくズレた関節を最大緩めた姿位に保持し、軽く局部に軸圧をかけながら矯正方向に動かすことで、瞬時にズレを調整する方法。筋肉や腱の軟部組織にも効果的なオステオパシーの元祖的治療。
 

脊柱、四肢関節、骨盤、筋肉、靭帯をほぼ瞬時に改善できる素晴らしいテクニックですが、操作法や手順を間違えると諸刃の剣になります。触診と操作が噛みあえば、スマートで切れ味抜群の効果を発揮する治療法といえます。いずれ何の治療でもそうですが、触診検査と原因治療の重要さを身をもって痛感します。
 

頭蓋仙骨治療(Cranial sacral technique )

頭蓋と仙骨を繋いでいる硬膜にたいし、体表からわずか5グラムの力で誘導して、脳脊髄液のながれを調整することでより深部の問題をあつかう治療。
 

`99と`00に受講、オステオパシー頭蓋治療の原点がここにあります。後に受講するフィリップ・デュレルD,Oの頭蓋治療やT,シェーバーD,Oのバイオダイナミクスに感銘を受け、頭蓋系治療探求のきっかけになりました。
 

メカニカルリンク(Mechanical rink)

8つのリンクし合う機能単位(脊柱・胸郭・四肢・骨内力線・内臓・血管・頭蓋・神経)の全体の中から主要障害を選び、更にその中から治療すべきしょうがいを特定し、リコイルによる瞬時の調整を行う。検査に技術を要す。
 

今後も学び続けたい私の大好きな治療のひとつ。侵害性が少なく効果の高い治療。初診時によくメカニカルリンクの検査法を入れます。施術者としても受けたい治療のベスト3に入ります。
 

3.イネイト活性療法

触診のみではわかり得ない、原因である身体内部の感染・アレルギー・メンタル問題など空間チェック(脳反射テスト)で答えを導く。使いこなすには知識と術者のレベルアップと質問力が必要。知識を入れれば入れるほど治る問題も増えていく。自己治療もできるのでとても重宝する治療法。
筋力検査や下肢長差などの特殊な検査法を使い、メンタルも含めた深いところにの原因を追求する治療法です。まったくの無痛療法で行われますので、安心して受けられます。慢性症状や難治性症状の原因は単純でないケースが多く、絡み合った原因をひとつひとつ取り除くことが必要です。その為にはあらゆる角度から身体をみる検査力が必須となります。イネイト活性療法の施術は自律運動と呼ばれる、身体各所の正常を引き出す施術であり、統括治療と呼ばれる「腰椎5番」に軽く触れる程度のタッチ治療を行います。

スポーツPNF (proprioceptive neuromuscular facilitation)

世界中でリハビリとして行われているものを治療として日本で開発された新しい治療法。神経や筋膜を15秒伸張させたり、直接関節を整合させて正常な運動機能を回復させる。   

世界中で行われている神経筋促通法を施術者の主導動作のみで行う治療法です。筋膜や関節包・靭帯の緊張を除去する均整合法、、関節のズレを調整する関節整合法、ゆっくりとした動きの中で直接神経に働くかける神経性合法などがあります。いずれも筋膜を通し穏やかな伸張をレスポンスを感じながら、膜の制限を無理なく解放していく高度な手技です。スポーツ障害に最適です。
 

CW療法

立位・座位・四つん這い・仰臥位・横向きなどあらゆる体勢において、それぞれのバランス支持骨をアジャストし、重力下における正常な「揺らぎ」を導き出す事によって様々な疾患に対応する即効性のある万能治療。
 

筋力脳反射テストで多くの情報を導き出し、その人に合った治療を選択します。四肢に対する治療でほぼ全身を網羅します。顎関節の問題には特異的な効果が期待できます。
 

NAET(アレルギー除去治療)

アレルゲンを転写した専用のバイルを手に持って筋力検査を行いアレルギーの元を検出、バイルを持ったまま経絡に対し刺激を入れ、アレルギーに対する脳と免疫系そのものを正常に近づけていく治療。
 

複雑な免疫系を目からうろこの概念で治療します。この治療で様々な症状が改善するのを見る度に、人間の深淵に流れるエネルギーの存在に驚かざるを得ません。
 

BASE

ストレス反応部位である大腰筋と横隔膜の反応を脳に知らせ、内臓反射も含め脳幹への正常な流れを促し、脳内信号路を調整する治療。
 

海から発生した生命多が、陸に上がり重力下で進化し二足歩行を獲得してから、現代のストレス社会に至るまで、身体及び脳の進化と病気の関係を、膨大な知識を元に治療を通してご教授頂きました。札幌の冬、冷気を吸い込み思わず咳き込んだ想い出の街。
 

説明

以上の各テクニックで原因を判断しながら、症状にあわせてその人の身体に最適な治療を行います。一番大切なことは、まず身体の痛みを取ることです。
痛みの原因はさまざまなアプローチで究明し、症状だけを負わず原因を治療することです。原因は問診やよ触診、徒手検査、神経学的検査などでわかることもあれば、治療中に判明したり、感情の問題が絡んでいることもあります。
原因さえ分かればあとはアプローチ法を選んで開始だけです。治療は段階をへて症状が取り除かれて行きます。長く患った場合は原因も複雑に絡み合い、多くの場所を治療することもあります。
原因が単純であれば一度のアジャストで症状が取れることもあります。痛みが取れれば動作の改善など次の段階に進みます。症状を取ることは目的のひとつですが、治療の本当の目的は健康で快適な生活そして病気にならない強い身体を作ることです。
好きな趣味に没頭出来る、思いどおりにスポーツできる、夜ぐっすり眠れて朝は気持ちよく目が覚める。そのためにはまず痛みを取り、きれいな姿勢・しなやかに運動出来る骨格と筋力を各テクニックで引き出すことが必要です。姿勢がきれいになりしなやかな動作ができるようになると身体のあらゆる流れが一斉に改善し始めます。神経の流れ・血流・リンパの流れ・脳脊髄液の流れ、それらは生きている身体を育むエネルギの流れです。治療の際は、身体の状態や気になること、何でも聞いて下さい。分かる範囲でお答えします。また、そんな会話の中から本当の原因を発見し、治療アプローチのヒントになることもよくあります。

抗重力バランス治療とは

開業当初から、売り上げの多くは患者さんに還元するための自己投資として、技術セミナーによく出席していました。ひとつの治療法に縛られず、どうやったら患者さんのこの症状を取れるのか?を求めて自費専門院を始めて治療院が3店舗になった頃、相変わらずセミナーに出まくっていた頃、ある日妻が私にこう言いました「なんであんなに勉強しているのに、いつまで人のセミナーに通うの?自分で治療法考えれば良いじゃない!」・・・(確かに・・・)私の方向性が変わったのはその一言がきっかけでした。県立図書館に通い詰め、あらゆる分野の本を読みあさるようになりました。人間の本質から見つめ直す必要性を感じたからでした。そうして生まれたのが「抗重力バランス治療」です。人は太古の昔、海の中で単細胞として発生し多細胞生物へ、そして魚類を経て陸へ上がり四足動物になると、永い歳月をかけて二足歩行を獲得しました。陸に上がってからは重力という物理的支配の中、二本足で立った人間の骨格は完璧な水準に達したのです。脊柱が立ったことで重力から解放され、さらに手が使えるようになると「脳」は著しく発達し、たくさんの能力を身につけるようになりました。神様が完璧な脊柱を授けてくださったものの、それを本当の意味で活かせたのはお釈迦様を始め禅の名人や武術の達人などほんの一部の人のみでした。強健術や古武術などで能力を高めるには、大腰筋を基礎とした正しい脊柱のあり方に本質がありました。骨で立てるバランスが獲得できれば、痛みから解放され治癒力が発動されます。
「抗重力バランス治療」は手足・骨盤・上部頚椎を重要視します。そして重力に対し大腰筋で立てる正しいバランスを獲得するのことが目的です。施術の方法はその人に合ったものをセレクトしながら、重力バランスを整えます。「抗重力バランス」における「身体メカニズム」についてを以下にご紹介していきます。

身体メカニズム

置性系(Landing system)における平衡バランスシステム
〇足・膝・股関節など重心バランスをとる踏ん張り系
置性系の平衡バランスシステムには深部感覚(関節にあるセンサー)、内耳(三半規管)、小脳でのフィードバック機能があります。これは神経系の伝達回路で、置性系である足・股関節が主に土台として働いています。この神経系の伝達速度はゆっくりではありますが基本的で重要なバランスシステムです。小脳で学習され徐々に予測運動を行い精度が高まることをフィードフォアードといいます。

吊性系(Sling system)=左右のおもさを支点で支えるやじろべえ式復元システム

〇頸椎1番を支点にした下顎骨と頭蓋の重さ

〇仙腸関節を支点にした両腕の重さ

身体に備えられた2ヶ所のやじろべえ機構

下顎骨は、建築構造上の免震機能を果たしながら、側頭骨に吊るされたブランコの状態で、かつ頭全体では頸椎を支点にバランスを取る二重構造平衡調節機能を持っています。構造はやじろべえ式の瞬時に復元するシステムであり顎関節・頸椎1番・仙腸関節はあらゆる疾患に直接結びつくため、これらの場所は治療における最重要ポイントになります。

人体は、主にこの2つのシステムが互いに影響し合いながら姿勢バランスを取っています。(Fasciaによるより速い、一瞬にして伝達される刺激伝達系はこれらバランスシステムの一躍も担っています)

 

距骨から始まる立位バランスと正しい立ち方

足の構造は、支点である距骨関節が重心の後方にあることで前方移動が有利になるようにできています。理想の立位姿勢とは、筋肉を使わない靭帯の張力によるバランス制御にあり、膝裏と股関節前面の靭帯、腰椎前面の前縦靭帯による張りで立ち、体の重心を前に少し腰をそり気味にして、足の指をわずかに踏ん張って立つのが理想です(この自然な腰椎の前腕は大腰筋が働くことで形成されるのが大切)。現代人の足は靴に圧迫され、また歩かなくなったため膝・股関節・背中を曲げ、顎をつきだすことで全体のバランスを取ることになります。この状態では余分な筋肉(アウターマッスル)に負担がかかり、腰・肩・膝などに症状を出してしまいます。

治療は足趾の腱を刺激して機能を高め、下肢を支える筋力や靭帯の緊張をリリースすることで土台を整え、骨盤システムである股関節・恥骨結合・仙腸関節・腰仙関節の整合を図ります。また屈曲優位になってしまっている膝・股関節・各移行椎(腰仙関節・胸腰移行部・頚胸移行部)もチェックし施術する必要があります。

仙腸関節における歩行メカニズム

これまでの状況は矢状面(横から見た身体)での問題ですが、前額面(正面から見た身体)でのS字やC字の歪みは骨盤下肢での左右差による結果としてとらえ、ねじり戻して治すわけではなく、その左右差を解消することで対応します。

ここで骨盤帯、特に仙腸関節における仙骨の動き、歪みの発生機転を考えてみます。
仙腸関節は筋肉による自動運動は行わず、関節面と靭帯の形状により一定の動きを強要される関節で、仙骨は股関節を介した腸骨の動きにのみ受動的にきわめて小さい動きをします。仙骨は立位での荷重軸足側ではうなづき運動、相対的に逆は起き上がり運動をします。また歩行時において踵接地時には最も荷重がかかるため、腸骨後方回転と仙骨うなづきによる靭帯性の安定機構が働き、前方への推進すべき立脚中期では、殿筋や大腰筋など筋性の動的機構により腸骨は前方回転しながら仙骨は起き上がり運動をします。こうした動きの中で、片寄った立位バランスや歩行の癖が骨盤帯に一連の歪みを引き起こします。

アンバランスを生じさせる軸足の偏重

例えば左に重心をかけて立った場合、左の腸骨は股関節の内転を伴いながら後方に回転し、その側の仙骨はうなづきます。骨盤帯は恥骨結合がクランク運動を伴いながら支点の作用をするため、仙腸関節において左右の腸骨はユニットで動き、右側は全く逆に変位することになり、右腸骨は前方に回転しながら外転し、仙骨は起き上がります。その時左の股関節は内転筋の収縮を伴いながら荷重をかけ、内外腹斜筋などにも緊張をともなって典型的なアンバランス姿勢が完成します。

この時、脊柱は一連のパターンで捻じられながら上方に影響していき、最終的にあたまを中心に戻し視線を平衡にしようと上部頚椎が傾いてアンバランスは完成してしまいます。ただしこれらの重力に対する歪みは筋・筋膜によって行われるため、頭に付着する筋肉は頭蓋骨までも歪ませてしまいます。頭蓋骨の歪みは下顎骨の関節面にも影響するため、顎のずれやかみ合わせのずれまで引き起こします。

その他の重力バランスの崩れる原因

以上のメカニズムの中で、外傷などがバランスを崩すきっかけになる場合が多く、歯科治療からかみ合わせのズレが起こり全身に影響するケースのほか、頭をぶつける、足首の固着、内臓の機能低下による姿勢変化、仕事での座位姿勢、手の使い過ぎによる疲労、転倒による内臓への歪力、感情問題など、姿勢バランスへ影響する原因は人によって様々です。

身体メカニズムは置性系・吊性系のバランスシステムの中で、多種多様な原因がもとになり、またそれらが重なり合って症状を引き起こしているわけです。治療は足から整え骨盤システム(股関節・仙腸関節・恥骨結合・腰仙関節)を整えながら、原因となる元にたいして施術をし、最終的には顎と顎関節へのアプローチとなります。ではなぜ、顎と上部頚椎と仙腸関節が重要になるのか?

上部頚椎の歪みによる諸問題

支点である仙腸関節もしくは上部頚椎が歪んでいれば、瞬時に復元するためのやじろべえ機構が働かず、また仙腸関節の異常による全ての起居動作への影響や、上部頚椎の異常による脳への血流障害やうっ血による様々な疾患、そして顎のずれからくる頭蓋骨や首への悪影響などが考えられ、これらの異常は即座に身体の変調をきたすからです。

特に頸椎弯曲異常や上部頚椎異常で起こる小後頭直筋緊張による脳への慢性的な脳虚血状態は、原因不明の解明されない本態性高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害、更年期障害(これらは脳の栄養分である糖分の不足が脳下垂体の刺激ホルモンによって多くの臓器にホルモンを放出させた結果として起こりやすい)、不眠症やそのた多くのアレルギー疾患の原因と考えられます
また、脳のうっ血状態は胸鎖乳突筋の緊張による内頚静脈の圧迫によることが多く、頭蓋内血管の内圧が高まります。拍動性の強い頭痛はここに原因があり、片側の緊張は片頭痛として現れます。筋の緊張は首の後ろの僧帽筋、頚最長筋、頭半棘筋にもおよび、大後頭神経に作用し緊張性頭痛を生むことになります。多くの病態は、これら脳における血流障害がもたらす弊害からくるケースが非常に多様な作用で現れる現象にすぎません。全身のバランスを整え、最終的に仙腸関節・上部頚椎・顎関節が整い全身の膜系統が整って、血液・リンパ・脳脊髄液そして筋緊張圧痛大が流れれば健康は回復します。

「抗重力バランス治療」とは

「抗重力バランス治療」はこれら「身体メカニズム」を考慮したうえで身体を整える施術になります。治療には目的があります。痛みを取り、より健康的で快適な身体になることを目標に、「安全」で「確実」で「安心」できる施術の提供を常に考えております。