院長の独り言(基準を考える…②)
2011/01/19
二足歩行を獲得したヒトが恩恵を受けたもの、それは精神性の向上だと云いました。
四つ足で歩行する場合、脊柱は水平位を取ります。そのため、その先にある頭は、首をかなり持ち上げることで前方を向くことになります。
24個の骨で形成される脊柱は、斜めの関節面が瓦状に並んで積み重なっています。四つ足であれば、肩と股関節に支えられて、脊柱がダランとぶら下がる状態になるため、関節面はしっくり納まります。
しかし、自然界の中で、いつ敵と対峙するかどうかぎりぎりの世界で暮らす動物達は、常に緊張を強いられます。また、「重力」による、脊柱や首周辺への負荷から逃れることも出来ません。(横になって休むしかないが、それでは精神性の向上ははかれない)
二足歩行で、脊柱が垂直の位置をとると、一体何が変わるでしょうか?
長い歴史の中で、S字の湾曲を形成し、上から下にかけて徐々に椎体を大きく変化させ、ヒトの脊柱は「重力」に対して、理想の形状を手に入れたと云ってもよいでしょう。
これにより、「重力」から解放された脊柱(の中の背髄神経)と、それが垂直に安定することで筋肉の脱力=「ゆらぎ」を獲得します。
脱力による身体の揺らぎにより、四つ足だった頃の、体感から来るあらゆる触圧情報からも開放され、「思考」に対する脳の許容が大幅に増えたはずです。
また、自由になった両手は、細かな作業を行い、道具を作り、多くのものも創造して来ました。
脳は、さらに工夫し、未来を予想し、夢を描いて物作りをすることで、感情もどんどん豊かになり、コミュニケーション能力も発達して行ったものと思われます。
禅の達人が沈思黙考する際、脊柱を重力線に一致させ、精神性の極みに達します。周りの環境の一切を遮断し、自分の内なる世界にアクセスすることで、世の悟りを開いたのが「ゴーダマ・シッダールタ」(お釈迦様)です。
こうして、脊柱を直立させた人間は、精神性の向上を得、高い技術で多くのものを創造し、偉大な文化を築いてきました。
さて、ここで取り上げたい、重要な筋肉を考えたいと思います。
四つ足から二足歩行に移行する過程で、もっとも発達した重要な筋肉…そう、皆さんご存知の…「大腰筋」です。
~ 続く ~
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