院長の独り言「密息Ⅰ 虚無僧をご存じか?」
2009/03/03
皆さんは「虚無僧」(こむそう)をご存知でしょうか?
時代劇が少なくなった今、あまり画面上で見かけなくなってしまいました。
「虚無僧」とは禅宗の一派、普化宗(ふけしゅう)の僧侶で、僧衣はつけず袈裟をかけ、深編笠をかぶり尺八を吹いて布施を請うてまわった人たちのことです。
時代劇で登場する虚無僧は長めの編笠をかぶってこれまた長めの尺八を吹きながら歩いています。腕に憶えのある武士がすれ違いざまに・・・「こやつ何ヤツ!?」
・・・そうです、武士たるものその異様な気配は感じ取る能力を持っています。「御主何者(おぬしなにもの)!」といきなり袈裟切りに斬って落とそうとすると、すっと身を引き刃先を皮一枚でかわす・・・
深編笠が斜めに切られ、その隙間から表情が見えるも相変わらず目を閉じ涼しい顔で尺八を吹き続ける虚無僧・・・
静かに目を開いた虚無僧に、「御主(おぬし)出来るな!」武士が更に奇声を上げて切りかかる・・・腰に携えた刀に手をかけたかと思うと一瞬の間をおいて一太刀のもと瞬時にして相手を切り倒す。
いかがですか?時代劇に度々こんなかっこいい「虚無僧」が登場していましたよね。
「虚無僧」はみな武士階級の出で、彼ら以外に「虚無僧尺八」を吹くことは許されず、禅宗である臨済宗の流れを汲む普化宗は当然「禅」の中で呼吸というものを非常に重要視しました。
「武士」「禅」「呼吸」「尺八」この要素が「虚無僧」を生んだ大にな背景になっており、そこで究められたのが「密息」と云う呼吸法でした。
尺八は、オーボエやクラリネット・サックスのようなリードを持つ楽器と違いエアリード楽器と呼ばれる範疇に入り、口をすぼめて吹き口に直接空気を送り込んで音を出す非常に効率の悪い楽器です。
フルートやケーナもエアリードですが尺八とくに虚無僧尺八はたぶん音を出すのに世界一呼吸量が必要な楽器と云えるのではないしょうか。
中村明一という現代の虚無僧尺八演奏者は、尺八を通して「密息」なる呼吸法を完成し、日本人の本質を呼吸から改善し心身ともに変えていこうと指導されています。
日本人はもともと和服を身にまとい、帯締めの内側の張りを持たせて着崩れしないよう「密息」に近い呼吸を身に付けていたと云います。
それは吸気で膨らんだ下腹を引っ込めないまま息を吐き出す呼吸法であり、骨盤を落とし少し背中を丸めて体を微動だにさせずに深く長い呼吸を実現させていました。
この姿勢はまさに剣豪武蔵が会得したあの「無双の構え」にほかならず、はからずも虚無僧尺八の達人がたどり着いた身体バランスを含めた呼吸法は、剣の達人の構えの極意とピッタリと一致したかのように私には思えてなりません。
93歳で亡くなった私の祖母は、生涯和服を着て過ごしました。骨盤を少し落としながら畳の上をスススっと歩き呼吸を乱すことなく、いつも穏やかでニコニコした可愛いおばあちゃんでした。
気負いなくいつもすっとした佇まいは、今にして思えば気配を消した達人級の振る舞いだったのでしょうか?
明日は名人級の呼吸法に挑戦してみましょう。私も特訓中です。
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五輪整骨院
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